学部4年生の八巻ひかりさんが、卒業研究として「ビルベリーの肝細胞脂肪化・障害抑制効果」に関して研究されました。その研究に対して優秀賞が送られました(2017. 1. 30)。
カテゴリー: 生体応答制御医学分野
広報誌「プラテュス」にて、生体応答制御医学分野を紹介しています。
保健科学研究院・広報誌「プラテュス」にて、生体応答制御医学分野の紹介をしています。よろしければご覧ください。
寄附分野「生体応答制御医学分野」の開講に向けて
~ストレス社会において、しなやかにそして力強く生きるために~
寄附分野「生体応答制御医学分野」は、細胞・臓器・器官・生体へのストレスおよびストレスに対する応答・適応メカニズムを科学的・医学的に究明し、ストレスを積極的に制御するための研究を行うことを目的として、平成28年9月に開講しました。御寄附により維持・運営される講座のため、期限付きの開講となります。医療・保健医療の現場においては、精神的・肉体的に様々なストレスへの対応が迫られており、その解決のための糸口となる研究も盛んに行われるようになってきています。こういった状況の中で、私達は、現代のストレス社会において「しなやかにかつ力強く生きるためのライフスタイル」を提案し、新たな保健医療の(概念の)創造を試みたいと考えています。
基盤的な研究としては、様々な生物学的ストレス・環境によるストレスを想定して細胞・小動物レベルでの研究を進め、生物学・生化学・分子生物学的手法を中心に解析します。細胞における「個々のストレスに対する特異的な応答とその機構」を研究すると同時に、様々なストレスに対して共通する応答形式を研究することで、「ストレスに対する普遍的な応答機構」を明らかにしたいと考えています。これまで、健康イノベーションセンター・生体分子・機能イメージング部門においては、細胞あるいは生体における分子・細胞・臓器の様々な活動を時空間的に解析し、理解を試みてきました。これまでの成果を基に、マウス等小動物実験を行い生物学的・医学的なストレス応答を“systems biology”の立場から分子生物学的に解釈・融合し、新たなストレス応答制御の方法を探究します。慢性ストレスあるいは急性ストレスを個別に検討することは重要ですが、現代社会において想定される混合ストレス(特に、慢性ストレス下にある状態での急性ストレスの負荷)に対する応答の解析は特に重要と考えていますが、細胞・臓器・器官・生体が慢性的な非生理的ストレス状態に陥った際、さらに加えられる急性ストレスの影響を解析し、複合的なストレスへの対応法を研究したいと考えています。
また、本寄附分野では、ヒトを対象としたストレス研究を主要目的のひとつとして掲げました。これまで細胞あるいは動物実験を中心に行ってきていましたが、臨床への研究成果の還元は医療系の研究者として大変重要なことです。今回、保健科学研究院の他の専門的研究者らとともに、日常的な精神的・肉体的ストレス(食事、運動、睡眠、生活習慣など)、それらに由来する疾患、医療行為に関連するストレス、周囲環境の変化によるストレスなどへの生体応答・適応を科学的・客観的に解析すると同時に、特に五感刺激(嗅覚、視覚、知覚、聴覚など)が及ぼす生体ストレスへの影響・緩和効果を理論的に検証したいと考えています。
現代社会における様々なストレスに対して柔軟に対応し力強く生きるために、ストレスに対してより理論的・科学的にアプローチし新たな観点からの解決法を見出せれば、それを多くの方々に還元することが可能かもしれません。本寄附分野が、ストレスに対する生体応答の基礎的・臨床的な検討を行いながら、様々な分野の研究者の方々と共同で研究を進めることが出来れば、保健科学研究院のみならず、北海道大学、最終的には国民の健康と福祉に貢献出来るものと考えています。
生体応答制御医学分野の芳賀早苗先生の論文がアクセプトされました(H28.12.22)。
芳賀早苗先生の研究論文が、BMC Gastroenterologyにアクセプトされました。
細胞・マウス実験において、核内受容体FXR(Farnesoid X receptor )を刺激すると細胞の生存能が高まるとともに、細胞の脂肪化が抑制されることを示しました。FXRを刺激することにより、p62/SQSTM1を経由して細胞の易傷害性を抑制すると同時に、SHP(Small heterodimer partner)の活性化によりLXR(Liver X Receptor)を抑制し脂肪酸合成を抑えます(肝細胞内脂肪蓄積を低下させます)。これらの成果は、脂肪肝のNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)への移行を抑えたり、脂肪肝患者さんの安全な手術(術後合併症の予防)に役立つものと考えています。
“Organ Biology”に、論文が掲載されました。
日本臓器保存生物医学会のOfficial JournalであるOrgan Biologyに、論文が掲載されました。
「p62/SQSTM1 を基軸とした新たな肝臓・肝細胞保護・機能維持メカニズム」(尾崎倫孝、芳賀早苗)Organ Biology23 (2), 168,2016
第23回肝細胞研究会(大阪)にて、博士研究員の芳賀早苗さんが発表しました(2016-7-8)。
第23回肝細胞研究会が、大阪(大阪大学中之島センター)にて、7月7日、8日の2日間開催されました。研究室からは、博士研究員の芳賀早苗さんが発表されました。肝細胞におけるビルベリーの有する抗脂肪化・抗酸化・細胞増殖効果とその分子機構に関して基礎的なデータを発表しました。発表当日は、大阪は猛暑のようでしたが、会場内でも活発な議論で熱くなっていたようです。
“p62/SQSTM1 plays a protective role in oxidative injury of steatotic liver in a mouse hepatectomy model”がAntioxidants & Redox Signalingにacceptされました
博士研究員・芳賀早苗さんが、脂肪肝の易傷害性に関する論文を発表されました。これは、NASHなどの発生機序にもつながるものと考えられます。
2014Sanae Haga, Takeaki Ozawa, Yuma Yamada, Naoki Morita, Izuru Nagashima, Hiroshi Inoue, Yuka Inaba, Natsumi Noda, Riichiro Abe, Kazuo Umezawa, and Michitaka Ozaki.
“p62/SQSTM1 plays a protective role in oxidative injury of steatotic liver in a mouse hepatectomy model”
Antioxidants Redox Signaling Volume 21, Number 18,