研究体制・スタッフ・学生の紹介

Principal Investigator:尾崎倫孝

北海道大学 名誉教授
北海道大学 大学院医学研究院 特任准教授
独立行政法人 産業技術総合研究所生物プロセス研究部門 客員研究員

〒060-0812 札幌市北区北12条西5丁目
TEL: 011-706-3337/4753  FAX:011-706-3337
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学歴および職歴

1984年3月 岡山大学医学部医学科卒業
1988年3月 岡山大学大学院博士課程修了(1988年3月28日 医学博士取得
1984年4月 岡山大学医学部第二外科学教室
1989年9月 山口南陽病院 外科医長
1991年9月 東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター第三外科
1993年4月 同 助手
1995年12月 南大和病院 外科部長
1996年4月 同 副院長
1997年8月 米国Johns Hopkins University School of Medicine, Department of Surgery, Division of Transplantation, Research Fellow
1998年3月 米国Johns Hopkins University School of Medicine, Department of Medicine, Division of Cardiology, Research Fellow
1999年10月 国立小児病院 小児医療研究センター(現在の国立成育医療センター研究所) 移植・外科研究部 実験外科研究室 研究員
2003年4月 岡山大学大学院医歯学総合研究科 食品健康科学講座 助教授
2004年10月 北海道大学医学部大学院医学研究科 置換外科・再生医学講座 助教授
2007年6月 北海道大学医学部大学院医学研究科 分子制御外科学講座 特任教授
2012年4月 北海道大学大学院 保健科学研究院 教授
2013年4月 北海道大学大学院 保健科学研究院 健康イノベーションセンター 生体分子・機能イメージング部門 教授(兼任)
2016年9月 北海道大学大学院 保健科学研究院 生体応答制御医学分野(寄附分野) 教授(兼任)
2024年4月 北海道大学 名誉教授、医学研究院 特任准教授

 大学を卒業後、外科医としてキャリアをスタートしました。当初、臓器移植医療に興味を持っていましたが、当時移植の世界では拒絶反応の抑制法と臓器の保存法の開発が大きな研究課題となっていました。大学院での研究テーマとしては、臓器の保存、その中でも特に保存後血液が再灌流される際に酸化ストレスが引き起こされることに興味をもち、研究を始めました。学位研究は、e.p.rによる試験管内でのフリーラジカルの発生条件とその検出でした。学位取得後も、酸化ストレスの研究から離れられず、現在までずっと続けています。何事も最初のプライミングが重要なようです。特に肝臓に興味を持っていたため、肝臓・肝細胞における酸化ストレスの観点から、移植のための臓器保存、虚血・再還流障害の病態を分子生物学的に研究してきました。Johns Hopkins大学留学中には、酸化ストレスの発生機構としてのrac1 GTPaseの研究、細胞内ROS(reactive oxygen species)の制御(細胞内の発生および抑制機構)を、国立成育医療センター研究所では、レドックスによる細胞増殖・細胞死の制御を研究しました。北大に異動してからは、肝臓の傷害(障害)・再生・機能維持などの分子機構の研究を進める傍ら、これまで分子生物学的に解析された病態が、本当に生体内で起こっているかどうかを観察・確認したいと思い、生体イメージングの研究も始めました。“光”を利用したイメージングの手法で、細胞内分子機能のダイナミズムを可視化するための研究を進めています。
この研究室は、一言でいえば、”Liver, Stress and Imaging Laboratory”と言えます。
研究自体は、私個人と言うよりも多くの共同研究者の方々とともに、楽しく、厳しく進めて行きたいと思っています。

健康イノベーションセンター 生体分子・機能イメージング部門

客員教授:浜田俊幸先生

九州大学大学院 薬学研究科修了(薬学博士)日本学術振興会特別研究員、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(日本科学技術特別研究員)、米国コロンビア大学, (日本学術振興会海外特別研究員、NIH postdoctoral research fellow)、早稲田大学 人間総合研究センター(助手)、産業技術総合研究所 年齢軸生命工学研究センター(研究職員)、北海道大学大学院医学研究科(特任講師、特任准教授)を経て現在、北海道大学大学院保健学科(客員教授)。
 人の健やかさを保つことは、生活の質の維持・向上だけでなく健康長寿を目指す現代社会において欠かせないものです。私は健康な体の維持に対する研究を生体の「恒常性維持機構」をメインテーマに以下の3つの研究を主に行っています。

1.体内時計による「短時間の恒常性維持機構」の解明.
2. 生物の一生を制御する「年齢軸恒常性維機構」の解明.
3.「恒常性維持機構」をリアルタイムに可視化する(生体の健康状態を基準化する)長期モニタリング装置の開発.

特に近年、自由に行動しているマウスの各組織の時計遺伝子発現をリアルタイムに追跡定量する「遺伝子発現追跡定量装置」のプロトタイプ開発に成功し、本装置をもちいて「体内時計の乱れ」による睡眠障害、精神疾患、乳癌、糖尿病などの疾患発症機構解明および「体内時計の乱れ」をもちいた予防医学の確立を目指しています。

生体応答制御医学分野

特任講師:芳賀早苗

肝臓は旺盛な再生能をもつ臓器であり、外科的肝切除時、また障害された際に肝細胞を増殖、成長(サイズの増大)させ、臓器を元の大きさに回復させます。
私は、これら肝の障害・再生メカニズムを明らかにすることを主要なテーマとして研究を行っています。肝臓を主に構成する肝細胞内では、さまざまな状況に対して多様な分子が適切な働きをなすことによって臓器を維持しています。それらを解明することを試みてきましたが、細胞内の分子シグナルを如実に把握することは非常に困難でした。そこで近年我々は、分子機能を蛍光あるいは化学発光をもちいた“光プローブ”によって解析することを進めています。この研究によって生きた細胞はもちろん、生体臓器内での分子シグナルをもリアルタイムに捉えることが可能になると期待しています。

連絡先(E-mail):お問い合わせページへ

秘書:大渕 江里子

北海道大学という歴史ある素晴らしい環境で勤務できる機会をいただき、心が躍る思いです。研究室の先生方のお仕事がスムーズに進むよう、微力ながら尽力して参ります。

研究チーム

客員教授:梅澤一夫教授

私は毎年、保健科学院の講義に行くのを楽しみにしています。私たちの研究は天然からの探索または分子デザインにより、疾患に関与するシグナルの低分子阻害剤をみつけることです。私は尾崎先生と共同研究をするようになって10年以上になります。いままで、NF-kappa B阻害剤DHMEQが臓器移植や炎症を抑えることに多く使われました。尾崎研究室では、最近、肝機能の機構解析などでに大きな成果をあげられています。これからも低分子化合物でお手伝いできればと思っています。

愛知医科大学 分子標的医薬探索寄附講座 梅澤一夫教授
https://www.aichi-med-u.ac.jp/su06/su0607/su060704/03.html

共同研究者:上本伸二教授(写真左)共同研究者:増井俊彦先生(写真右)

肝臓、膵臓を中心とした消化器外科領域および臓器・細胞移植領域における診断と治療に関して、様々な技術開発とその臨床応用を目的として共同で研究を進めています。現在は、特に膵癌の早期診断と治療に向けた共同研究を推進しています。

京都大学 肝胆膵・移植外科/小児外科学講座 上本伸二教授
https://hbptsurgery.kuhp.kyoto-u.ac.jp/kantansui/classroom/kyoin.html

客員准教授:森田直樹先生

北海道大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。日本学術振興会特別研究員、科学技術振興事業団科学技術特別研究員、通商産業省工業技術院北海道工業技術研究所任期付研究員を経て、2001年独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)に入所。2018年より産総研 生物プロセス研究部門 総括研究主幹。2009年より北海道大学大学院農学院客員准教授、2020年より北海道大学大学院保健科学研究院客員准教授を兼任。現在に至る。
2008年より北大・尾崎研究室との共同研究を開始し細胞実験や動物実験の手法を学びました。現在は、光イメージング技術開発及びそれを用いた外科治療研究等に携わっています。

連絡先等
国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研) 生物プロセス研究部門 
https://unit.aist.go.jp/bpri/

共同研究者:佐原 健彦先生

北海道大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。2000年より工技院北海道工業技術研究所任期付研究員を経て、2003年独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)研究員。2013年より産総研 主任研究員。現在に至る。
真核微生物を利用した高効率な有用物質生産に資する技術開発を目的として、現在は、自然界では微量にしか作られない有用なタンパク質や色素などの代謝産物を出芽酵母を用いて高効率に生産するため、ゲノム解析やRNA-seq解析等によって得られる情報を利用し、合成生物学的手法による研究開発を進めております。2022年より光技術に関する尾崎先生との共同研究に参加させていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

連絡先等
国立研究開発法人産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 生物システム研究グループ
https://unit.aist.go.jp/bpri/bpri-system/index.html

共同研究者:神 繁樹先生

大学・大学院を通して有機化学を専攻していました。専門は天然物化学です。研究のスタートは天然物のモデル化合物の合成で、その後海洋由来の抗腫瘍活性物質の探索を行いました。大学院を出た後は農水省の研究機関で植物生理に関わる研究、続いて産総研でエネルギー関連の研究を行い、現在は病気などに関係するバイオマーカーの研究を行っています。これまでの研究歴は一見すると脈絡が無いように思われますが、すべてに共通していたことは機器分析で、核磁気共鳴装置(NMR)、質量分析装置(MS)、X線CTなどを駆使して研究を行ってきました。エンジニア経験もあり、装置のちょっとした修理はできます。

客員教授:小澤岳昌教授

光で生体分子を観る・同定する・操作する新たな解析技術
私たちの研究室では、生体分子の構造と機能に関する情報を基本に、生体分子の機能や動態やシグナルを可視化する蛍光イメージング法を開発してきました。現在は、蛍光イメージングの基盤技術を応用して、発光イメージングやラマン分光イメージングに展開するとともに、遺伝子ライブラリーや化合物ライブラリーから、生理活性を制御する新たな機能性分子の同定・開発を進めています。また、細胞内シグナルを光制御する技術開発に取り組み、イメージング技術との融合により、生体内のシグナルを分子科学として理解することを目的としています。

東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 分析化学研究室
https://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/02basic/laboFiles/analy_j.html

共同研究者:井上啓教授

私は、2007年から、「糖・エネルギー代謝の中心臓器としての肝臓の役割とその異常の解明」を目的として研究室を運営しております。具体的には、肝臓の糖取り込み・糖産生の調節機構や、糖尿病・インスリン抵抗性に伴い発症する肝臓疾患、非アルコール性脂肪肝炎の病態解明を行っています。尾崎先生は、肝臓研究の先達として、2002年ごろから、共同研究をさせて頂いております。内科学出身の私にとって、外科学を背景にした尾崎先生の視点はいつも刺激的です。今後ともよろしくお願いいたします。

金沢大学 医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センター 生体統御学部門
https://inoue.w3.kanazawa-u.ac.jp/

共同研究者:岩垣博巳先生(院長、写真左)、岩川和秀先生(部長、写真右)

大腸癌における p62 発現の解析とその臨床的意義
尾崎倫孝教授はこれまで、脂肪肝における酸化的ストレスによる肝傷害のメカニズムがp62/SQSTM1を中心とした機構に起因した necrosis/apoptosis であること、逆に、脂肪化肝細胞に同分子を導入することにより肝切除後の傷害は抑制され、肝再生が改善することをマウスを用いた実験で実証されました。デ-タベ-スによる遺伝子解析では、大腸癌においてp62発現は増加しているが、蛋白レベルでは未だ不明で、その臨床的意義も含め関心があります。p62は細胞が具有する自食機構(autophagy)にて選択的に分解されることが知られていますが、免疫組織染色・Western-Blotting法を用いた大腸癌組織におけるp62蛋白発現の解析、生化学・分子生物学的解析を進行大腸癌患者・再発症例を対象としたプレリミナリ-な共同研究を開始しています。

独立行政法人国立病院機構 福山医療センタ- 外科
https://www.fukuyama-hosp.go.jp/

共同研究者:山盛徹先生(准教授)北海道大学大学院獣医学研究科環境獣医科学講座放射線学教室

私たちの研究室では、より効果的・効率的ながん放射線治療を目指して、細胞レベルでの放射線応答の解析、細胞・個体の放射線感受性を変化させる手法の開発、がん放射線治療における腫瘍間質の役割などについて、遺伝子レベルから動物個体までを対象として研究を行っております。尾崎先生とは、がんのイメージングに関する研究を中心に共同研究をさせて頂いており、臨床の視点からの興味深いフィードバックを頂きながら研究を進めております。

共同研究者:山田勇磨先生(准教授)北海道大学 大学院薬学研究院 薬剤分子設計学研究室

様々な機能を有するミトコンドリアは疾患治療、美容・健康維持、ライフサイエンスの発展に貢献するオルガネラとして注目されています。私たちはミトコンドリア標的型ナノカプセル(MITO-Porter)の開発に成功しており、本ナノカプセルの実用化(医薬品、試薬)を目指し研究を進めています。

https://www.pharm.hokudai.ac.jp/yakusetu/

共同研究者:渡邉隼人先生

 2009年3月北海道大学大学院教育学院修士課程修了。修士(教育学)。同年、日本学術振興会特別研究員(DC1)を経て、2015年3月北海道大学大学院博士後期課程中途退学、同年近畿大学豊岡短期大学(現豊岡短期大学)特別招聘講師。2016年10月より北海道大学短時間勤務職員(学術研究員)。現在に至る。
これまでの研究領域は自閉スペクトラム症における聴覚情報処理過程の特性に関する検討、および脳磁図(MEG)を用いた聴性誘発磁場の特性および解析手法の検討です。心理学的なストレスについての研究を進めていきたいと考えています。

共同研究者:小坂 弘明室長

㈱玄米酵素 中央研究所、㈱コーケン 研究開発室 室長
㈱コーケン 研究開発室の室長として、玄米発酵食品の機能性研究や成分研究に加え、品質の管理などをとりまとめ、研究室メンバーが自発的に働ける環境づくりを目指しています。また、近年では玄米食の健康に着目し、「美味しい」、「健康効果が高い」、「発酵に適する」自社ならではの玄米の開発を行っています。週2回のフィールドワークが習慣となりました。

客員研究員:根本 英幸主幹

㈱玄米酵素 中央研究所、㈱コーケン 研究開発室 主幹、博士(医学)
玄米、表皮・胚芽を麹菌で発酵した玄米発酵食品の機能性研究を担当しています。大学では微生物学、分子生物学を専攻していました。毎日摂取できる食品で、しかも健康維持、疾病予防を達成するような食品の開発を目標として、食品による抗炎症、抗メタボ、腸内細菌叢への影響等の機能性探索、検証を行っています。

客員研究員:堀江 裕紀子さん

㈱玄米酵素 中央研究所、㈱コーケン 研究開発室 研究員、博士(薬科学)
大学・大学院では植物生理学、さらに社会人博士課程では分析化学を専攻していました。勤めている会社では、玄米、表皮・胚芽を麹菌で発酵した玄米発酵食品の研究を行っています。発酵食品は健康に良いと言われていますが、発酵中の成分変化についてはまだまだ分からないことが多いです。玄米発酵食品に含まれる健康に関わる成分を見つけ出し、商品開発につなげようと、日々邁進しています。

共同研究者:伊藤 麻里さん

㈱玄米酵素 中央研究所、㈱コーケン 研究開発室 研究員
「食改善を通して真の健康をお届けする」を基本理念とし、食の教育活動と玄米、表皮・胚芽を麹菌で発酵した発酵食品を主とした商品を取り扱う会社に勤めています。研究員として、主原料の機能性研究だけでなく、その機能性をもとにした商品開発を担当しています。健康づくりは日々の食事からだと思うので、玄米や発酵食品の良さをお伝えできるよう日々業務に励んでいます。

学生

学部4年生:松谷雛伽さん

学部4年生:三嶋愛子さん

学部4年生:吉田夏菜さん

学部4年生:宮下晶帆さん