将来の医療・保健医療のさらなる充実のためには、教育現場にてしっかりとした教育を行う必要があります。これまで行われてきた教育に縛られることなく、新たなデジタル・ツールなどをもちいた教育(講義と実習)、北大内の様々な部局(保健学科、医学科、薬学科、獣医学科など)あるは本部局内の全ての分野(看護学、医用生体理工学、病態解析学、機能回復学、生活機能学、健康科学)が共同で取り組むことにより、より深く病理・病態を考え理解することや、あるいは新たな発想で保健医療を行うことが出来ると思っています。
また、講義においても実習においても、教員・学生間のディスカッションをベースに知識を深める試みを進めています。これまでの教科書、テキストを軽視するのではなく、それらを基本知識とした上で、いろいろな観点から柔軟に議論し、さらに新しい保健医療の手法・概念を創り出すためのものです。こういった試みによって、基礎的な病態生理学的知識を保健医療(看護)に自信をもって応用することが出来るようになると考えています。目の前の患者さんの病態についてテキストに細かく記載されているわけではありません。むしろ、テキストなどの記載と合致しない病態であった場合の方が多く、自分自身がその病態をどのように理論的に理解し、それに対していつ何をすべきかを考え、自信をもって対応することが大切です。
保健医療の分野も国際化が始まっています。これまでは日本から諸外国に出で学ぶ、といったことが多かったと思いますが、これからは海外から多くの学生、医療人が来日しで学ぶことになるでしょう。そのためには、私達も日本語のみならず様々な言語(特に英語)でのコミュニケーション能力をもつことが必要です。聞いて話すことも重要ですが、読んで書くことも同様に重要です。私達が知りえたことを、世界中の様々な地域の人たちと共有することが、医療人として求められているからです。
私達は、そのために、様々なハード・ソフトをもちいた講義、実習を行っています。講義でも、実習でも、単なる知識の記憶・積み重ねとか調べた結果を羅列するようなレポート提出などではなく、独自の考え、ディスカッションなどを中心に組み立てて、かつ主体性を重視しています。
将来、論理的な思考の上に経験を生かした医療人が育ち、国内外の様々な分野で活躍することを願っています。