国際交流プロジェクト チームメンバー

プロジェクト・リーダー 尾崎倫孝 (基盤看護学分野 教授)

私たちは、新しい保健医療の形態を考えるため、あるいは国際的視野から新たな日本の保健医療を考えるために、海外交流プロジェクトを立ち上げています。このプロジェクトは、北海道大学・海外教育交流支援事業等の支援を得て行われています。以下のような少しユニークな考えによる国際交流は、よりよい日本の保健医療を創造するために重要であると信じています。

このプロジェクトは、特に看護学分野において、国際的な視点に立った学生教育を行い、彼らが将来世界標準の教育と研究を行えるように期待して始めたものです。海外で活躍する人材と育てる、あるいは海外の医療関係者との交流を深めるということが主要な目的ではなく、「国際的な視点から将来あるべき日本の保健医療を考え、日本の医療を積極的に推進できる人材を育てる」ことを目的としています。

若い世代の人たちの意識改革・教育を目指して、学部学生を中心として参加を募っています。参加した学生には、次年度の積極的にプロジェクトの具体的プラニング・準備にも参加し、次回も出来るだけ同行することをお願いしています。自らもプロジェクト推進者としての自覚を持ってもらうためですが、継続的なプロジェクトとの関わり合いは、学生間の絆を深めるとともにプロジェクトの維持を通して、様々な社会勉強が出来ると思っています。さらに、海外の学生・スタッフとも随時意見交換などにより友情も芽生えるでしょう。

若手看護スタッフにも、積極的に参加してもらっています。これは、看護の世界でも国際的な相互理解と共同研究などにより、看護の普遍性あるいは日本における看護の特異性などを理解し、検討する機会になると考えたためです。このプロジェクトを契機として、研究、教育、トレーニングなどが、国際的な枠組みの中で日常的に(気軽に)行われることを期待しています。

若手看護スタッフにも、積極的に参加してもらっています。これは、看護の世界でも国際的な相互理解と共同研究などにより、看護の普遍性あるいは日本における看護の特異性などを考え、検討する機会になると考えたためです。このプロジェクトを契機として、国際的な共同研究が日常的に(気軽に)行われることを期待しています。

2013年度から始まったばかりのプロジェクトで、現在は、米国ハーバード大学附属病院(マサチューセッツ総合病院、Massachusetts General Hospital: MGH)、およびMGH附属保健医療大学(MGH Institute of Health Professions) との交流を行っています。また、アイオワ大学のSchool of Medicine/Nursingとの交流も同時に検討しています。

私たちは、こういった国際交流活動を地道に進めることが、日本の将来を見据え、保健医療教育・研究の質的変革をもたらすために非常に重要と考えています。

マサチューセッツ総合病院(ボストン) ハーバード大学医学部
外科 河合達郎教授
Andrist
(Professor and Vice-president,
MGH Institute of Health Professions)

プロジェクト・チーフ 溝部 佳代 (基盤看護学分野 講師)

2012年度より始動したこのプロジェクトは、日本の保健医療・看護における自身の将来像の発見、そして、今できることを自ら創造できる楽しさについて、仲間と分かち合いながら活動するためのベースキャンプです。そのため、国際交流の具体的準備や渡航期間中に限らず、自身の夢や国際交流の継続にむけて、彼らの自由な発想で長期的な活動を期待しています。初めて渡航する後輩のための準備をプロジェクトチーム全体で考え、経験をもった諸先輩らがその後どのように歩んでいるか等の体験談を聞いたり、皆で新たな活動を創り上げたり・・・、学生主体となって息の長い活動が続くことを期待しています。ベースキャンプ内での人、物、情報のネットワークを彼らがしっかり繋ぎ続け、自らの夢の登頂の礎になればと願っています。

私自身もこのプロジェクトに加わってからは、渡航計画に限らず、日ごろの研究・教育において海外との繋がりや視点を絶やさないようにと、強く意識するようになりました。本プロジェクトでの私の役割は、彼らが主体的に、自らの関心に沿って発想を拡げ、国際社会で行動できるための基盤として、必要な情報・資源へのアクセス、そのための社会性や動機づけの強化を助けることです。MGH附属保健医療大学(Institute of Health Professions: IHP)との交流では、2013年度、14年度と2回に渡って同行していますが、プロジェクトチームで共有した私たちの興味・関心、準備状況を先方に伝えながら、渡航の調整と実行計画の立案を行い、実際に現地でのマネジメントを行いました。

この2回の渡航を通して発見したことは、アメリカの医療・保健・看護を知るというところからもう一歩進んで、日本との共通性や特異な側面を気づき、感じることができれば、その経験は彼らが将来像を見出すことに役立ち、彼ら自身によって次のスモールステップを強く歩みだしていけるということです。国際交流の機会としてたとえ同じ場所に行ったとしても、その経験を反芻し、新たな一歩を踏み出す行方は、人それぞれで大変興味深いものです。在学期間だけでなく、長い目で彼らを見守っていきたいと思っています。

また、私自身も研究者・教育者として自らの視点をもってこの国際交流を継続し、今後の研究・教育に活かしていきたいと考えています。現在の私の関心は、北米の医学部・看護学部、病院を中心に、今、急速に世界へ広まりつつあるシミュレーショントレーニングによる教育の実践です。ここでいうシミュレーショントレーニングとは、シミュレーターや模擬患者に対して適格な技術を実施し、その習得を目指すOSCEや課題別技術トレーニング(注射・救急蘇生など)とは本質的に異なり、技術試験として結果や到達度を判定することは行いません。実施後は、デブリーフィングという教育手法により、指導者とディスカッションし、学習者が実践したこと、考えたことを共に振り返るなかで、次にどう行動すべきか気づきを学習者から引き出すというものです。デブリーフィングを行うには教育者側にそのスキルと方法を探究し続けることが必要です。日本の教育においてその実践を試みること、実践しながら課題や新たな発見があれば、それを海外の教育者と情報交換し改良していくことを、当面の国際交流における教育・研究の柱としていきたいと考えています。相談できる仲間が国外にもいるのは大きな財産です。学生とともに、このプロジェクトを楽しんで、推進していきたいと思っています。