多くの時間をかけて研究した課題の成果が、Journal of Surgical Research誌にacceptされました(https://www.journalofsurgicalresearch.com/article/S0022-4804(21)00578-3/fulltext)。
肝の虚血・再灌流後の傷害は、長い間necrosisとapoptosisから説明されてきました。しかしながら、近年になり、様々なプログラム細胞死が報告されるようになり、種々の病態への関与に関する研究も盛んにおこなわれるようになり、新たな機序が報告されるようになってきています。
今回の研究は、肝の虚血・再灌流後(あるいは肝細胞の低酸素・再酸素化後)に、どのようなプログラム細胞死が関与し、どのように傷害が進行していくのかを検討したものです。具体的には、necrosis、apoptosisだけでなく、necroptosis、parthanatosがどのような機序とタイミングで傷害の進行にかかわっているかを検討し、その中心にある機序がPoly(ADP-ribose) Polymerase (PARP)というDNA傷害に反応してDNA repairにかかわる分子のover-activationであることを確かめました。
上記のプログラム細胞死は、時間差をもって順次誘導されることを確認していますが、それらがどのように二次的な非感染性炎症につながり傷害の拡大に繋がるのかを今後検討してみたいと思っています。